今の子供たちが人工知能時代に、失業しないためにはどうすべきか
「AI失業」は、ビジネス誌がこぞって取り上げた問題である。「あなたの職業は30年後にもあるのか」というもので、出典元はオックスフォード大学の論文で提示された「あと10〜20年でなくなる職業と残る職業」である。本書でも、そこから作成したリストが紹介されている。
しかし、これまで見たようにAIブームによって立ち上がる新しいビジネスも多いはずだ。ここでは、機械学習そのものを提供するビジネスを「コア・テクノロジー」とした米国ブルームバーグ社のアナリストによる世界の人工知能ベンチャーをまとめた図も同時に紹介されている。
テクノロジーによる社会変化は避けられないものであり、人間が依拠するのが本来の「ものを見るチカラとものを考えるチカラ」に立ち戻ることは悪くない潮流だ。ベンヤミンの『子どものための文化史』を、子どもにはプレゼントしたい。
ただし松尾豊氏が言うような「人工知能技術を独占される怖さ」、とりわけ「人工知能による代理戦争」には大いに警戒したい。結局のところ、これまでに人類が生み出してきた宗教や時間、貨幣の概念や実体のように、AIが人間にとってある種の「第三者の審級」として働くかどうかは、人間自体にかかっているのだ。