人工知能の産業化を真剣に考えるブログ

人工知能にオックスフォード大学の研究発表で仕事が奪われると言われているが、実際の産業にAIが導入される場合にどうなっていくのかを考えるブログ

日本のものづくり技術とAIの組み合わせでチャンスが生まれる

 松尾豊氏はスタンフォード大学で客員研究員だった頃(2005〜2007)に、ヤフーのトップ研究者が大学で検索エンジンの作り方を教える光景を目の当たりにして、ビジネスと大学の間の「ゲーム・チェンジ」を実感したという。それ以前から「技術をベースにして企業が急成長し、その企業が再投資して、さらに技術のレベルが大変な勢いで進化するさま」を、同世代のセルゲイ・ ブリンとラリー・ペイジ、80年代生まれのマーク・ザッカーバーグが躍進するさまなどにまざまざと見せつけられてきた彼にとっては、日本の認識の遅れを痛感する瞬間だっただろう。

 そんな松尾氏が、人工知能分野において日本が国際的な産業競争に勝ち残るための課題だと、現在感じていることは五つある。「データ利用に関する警戒感の高さ」「データ利用に関する法整備の遅れ」「モノづくり優先思想」「人レベルAIへの懐疑論」「機械学習レイヤーのプレイヤーの少なさ」だ。

 しかし、現在の日本には少子高齢化をはじめとしたいろいろな社会課題がある。農業や介護の分野にAI搭載ロボットを参入させていくことで、技術によるソリューションが可能となり、海外への輸出産業の道も拓ける。「不足」を逆手に取った彼の方法論には説得力がある。「モノづくり」企業が抱える危機感が高まったとき、日本のAI新時代は始まるのかもしれない。